【道のり8】美容学校へ行く、夢への入口。
地元の高校を卒業した私は
新宿にある〈山野美容専門学校〉に行った。
小5からなりたいと思った夢の
〈美容師になるための学校〉ということで、
すごくワクワクした気持ちで通った。
山野美容学校は山野愛子先生という美容を日本に広めた人というくらい有名な方の学校で、だから地方からも寮に入る子が沢山来ていて、ひとクラス50人くらいが22組くらいあって!
本当にジャンボで、伝統ある学校。
とにかく私は美容一筋だったので、
こんなに沢山の人達がみんな
〈美容師〉になりたくて来てるんだっ!!
って思ったら、とても嬉しかった。
それまでは価値観の違う同級生ばかりで、
私は変わってるのかなって思ってた。
でもここでは皆、同じ道に向かって
同じ日程を同じ訓練と勉強をしていくのだ。
そして!
やっぱり美容学校なだけあって
すごい個性あふれる子達もたくさん!!
すごいな!素敵だな!なるほどな!
って、その世界が刺激的で楽しかった。
そして、
すぐ仲良くなれた友人達たちも、
みんな個性的で楽しくて、
そしてちゃんと自分を持っている。
相手を尊重する優しさや
寄り添う思いやりがあったりして
こんな私を普通に受け入れてくれて
休み時間も日向ぼっこしながらカップ麺食べたり、なんか転がって写真とか撮ったりして、
毎日が本当に心地よい日々だった。
といっても私の時代は1年間で専門卒業。
次の1年が就職先でインターン。
そして次の年に国家試験を受けて合格すると資格がとれる、という時代。
(今は2年間専門通って、その後に試験からの資格取得という過程)
だから1年間でビッシリ国家試験に向けてやるわけで、、夏休みは8月だけ。冬休みは1週間?
3/20頃卒業して、3/22には入社した記憶。
午前、午後でどちらか学科をやって、どちらかが実技。カットやメイクとかばかりやってるようなイメージかもしれませんが、1年なので本当に国家試験の練習であるパーマロッドの早巻きやフィンガーウェーブばかりやらされる!笑
仕事として役に立つのだろうか??
とか思いつつも、
なんかやるんだろうなと練習する!笑
時間をはかって競走して、
みんなで見せあって刺激を受ける。
負けたくなくて、誰よりもキレイにやりたくて
練習や工夫をこらす。
そんな毎日。
今までの中,高時代にやってきた数学や物理とかみたいに、面白くもなんともない時間をやりくりしてきた時代と打って変わって、
やること全て楽しくて
興味があることばかりで
この勉強?が毎日でいいんだろうか!?
と思うくらい幸せ過ぎて
本当に1年間充実してた。
その1年で分かった事もいろいろある。
同じように強い思いで「美容師になりたい!」
って理由でなく、
「これぐらいしかなかったんだぁ」
って子もいる。
1年一緒にやってきたのに美容院に務めるのはやめる。なんか違う、疲れた。
と感じてしまった子もいる。
今思うと、色々な人がいるわけだから
当たり前なんだけどね。
美容学校に入学した時に
車椅子でかけつけてくださった山野愛子先生。
美容業界は離職率70%
将来ずっと美容師をしてる人は10人中3人くらいです。そんな世界です。だから強い気持ちをもってないとやれません。
そんなような事を言われて。
「絶対に30%の中に残ってみせる!」
そう心に誓った私ですが、
月日が過ぎてみて、
ホントだったね!って同級生達と話したくらい辞めてしまった子が多かったみたい。
そんな山野愛子先生は、私が在学中の夏休みに亡くなられた。そんな具合だったのに来ていただいて、最後の入学式だったんだなって。
大人になればなるほど、
なんか本当に尊敬しかない。
(偉大過ぎて言葉にできません…)
美容学校で学んだことは、
今美容師として仕事してるなかでは
さほど重要なことではないのだけど。
同じ志しを持つ友人達と出会えたことや
刺激的に過ごした思い出が
すごく胸の中心の大事なところにあって、
今はもう本当にラッキーだったんだなと思う。
小さい時からなんとなく自分に自信がなくて
何が正解かも分からずに悩んでいた私が
「殻を破った瞬間」
それがこの時だった。
好きな世界に入ったのだ。
来てみたら楽しかった。
やってみたら、やっぱり合ってるみたいだ。
私、がんばってるじゃん!
やれば出来るじゃん。
なせば成るとはこういう事なんだ!
なんか分かったぞ。
自分もこれでいいんだ。
きっと、そんな感じ。
だから【好きなことをする】って
仕事ってだけでなく、趣味でも
普通に日々の中に取り入れるだけでも
きっと自分にとって
イイことなんだよね。
…そして。
専門学校を卒業して次は美容院に就職。
それからが
「離職率70%の世界」の始まり。
人生そんな甘くないのよって時代がくるのである。。
【道のり9へ続く】